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土曜日, 1月 28, 2006

十日戎お詣りの記

毎年1月10日は、商売繁盛の神様、大阪今宮戎神社の祭礼「十日戎」である。上方唄「十日戎」でおなじみだったが一度も行ったことがない。そこで前夜急に思い立ち、娘とお弟子二人の四人でお詣りすることにした。お弟子の内一人は大阪出身、子供のころに行ったことがあるそうで心強い。

ebis1東京から「のぞみ」で2時間半、昼ごろ今宮戎神社に着いた。辺りは東京のおとり様のような雰囲気である。しかし人混みはそれほどでもなく、比較的楽に拝殿に近づけた。意外に小さい神社である。これがあの名高い神社かとちょっと不思議に思う。しかし境内は“商売繁盛で笹持って来い”のテープが間断なく流れ賑やかである。まず笹を渡され(この笹は無料)、その後縁起物の飾りを自分でアレとソレという風に指定して、笹につけてもらう。その数で値段が決まる。ちょうど寿司屋のカウンターのようだ。

ebis5飾り物はまず唄のとおりに“十日戎の売り物は、ハゼ袋に採り鉢、銭かます、小判に金箱、立て烏帽子、ゆで蓮、才槌、束ねのし”の小宝がある。これを吉兆(きっきょう)と言うそうだ。その他にも戎の人形がついた熊手、俵、末広などなど、めでたいもののオンパレードである。笹に飾りをつけてくれるのは、その年選ばれた「福娘」達。美人揃いで彼女らを狙って盛んにカメラのシャッターがきられる。ちなみに福娘に選ばれると就職の際にも有利とのこと。“福”が来るのは会社にとっても喜ばしいのであろう。そのためか福娘になれる倍率は大変高いそうだ。

ebis3しばらくして境内が賑やかになった。三味線、太鼓の伴奏と共に芸者さんが駕籠に揺られてやってくる。宝恵駕籠というらしい。神社を出て道頓堀方面に向かう途中でも、いくつもこの駕籠の行列に出会った。各町会ごとにこの行列が組織されているらしい。芸者さんを中心に福娘たち、付き添いの男性と、華やかである。テープで流している賑やかな伴奏の音楽に興味をそそられ、取締り役らしき初老の男性に何の曲か尋ねたら「ええ?全くわかりまへん」とのこと。行列して大店の玄関先で順にご挨拶するらしい。ちょっと東京では見られない、粋でもなくかと言って野暮でもない、全く商業繁栄の都市、大阪らしい行事だと思う。

その後道頓堀で遅い昼食をとる。ふぐでも、と思いある有名店に入ろうとした矢先、救急隊員と共に慌しく担架が担ぎ出されてきた。ふぐ屋で救急車とはシャレにならない。あわてて隣のかに屋に移動した。夕方帰途に就く。大阪滞在時間は5時間足らず。日帰りの慌しいお詣りだった。

<弥乃太夫>

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