節分
今年は例年になく寒さが厳しく、春が待ち遠しかったが、節分と聞いては暦の上では明日は立春。まだまだ春は先なのだが、やはり気持ちが和らぐものである。
節分とくれば、お馴染み河竹黙阿弥の傑作、歌舞伎「三人吉三」。大川端のお嬢吉三の台詞、
“月も朧に白魚の、かがりも霞む春の空、つめてえ風もほろ酔いに、心持ちよくうかうかと、浮かれ鴉のただ一羽、塒へ帰る川端で、棹の雫か濡れ手で泡、思いがけなく手にいる百両、(おん厄払いましょう厄落とし、) ほんに今夜は節分か、西の海より川の中、落ちた夜鷹は厄落とし、豆沢山に一文の、銭と違って金包み、こいつア春から縁起がいいわえ“
歌舞伎では、こういう美文調の長ぜりふを「厄払い」といっている。
最近は景気は上向いている、なんて、かけ声だけでちっともよくないとは世間の評判。ライブドアや、牛肉の不正、偽装建築など色々な事件も後を絶たない。せめて豆まきして、厄を払い福を沢山取り込んで、景気のいい世の中になって欲しいものである。
近頃は一家揃って何か行事をすることが段々なくなってきたが、昔は正月なら歌留多百人一首、そして当然、節分には豆まきをした。我が家でも子供が小さかったときは、交代で枡を持たして、大きな声で、福は内、鬼は外、兄妹で大はしゃぎだった。これを録音にとって、音楽を入れ編集をし、録音コンテストに出したところ、カメラの賞を貰った事があった。昭和39年頃である。我が家の氏神様は赤坂の日枝神社だが、昔は節分のときは赤鬼が出てきて、豆に打たれ逃げ廻るなどして、なんか当時は楽しかった。今ではただ豆を撒くだけで,面白みがない。
節分で思い出すくだらない話を少々。
「福は内、福は内、鬼は外」。するとそばから落語家が、「丸の内、丸の内、外神田!」
また、読売新聞に連載していた漫画「とどろき先生」で、玄関へ夫を送ってきた若妻、
「行ってらっしゃい。ネエ貴方、今夜は節分よ」 聞き間違えた夫、いきなり抱きついて接吻。
此には笑ったネ。
<弥乃太夫>
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